Toshiki Nakashige Toshiki Nakashige

たかやま

令和5年9月5日

館弥平衛の外でゴミを燃やした。その燃える炎の音を今も覚えている。タバコの煙の匂いもした。子どもころの日本の夏の思い出の中で、そのどちらがもっと鮮明に思い出されるのか分からない。祖母は喫煙者ではなかったが、旅館の手伝いの女性はタバコを吸っていた。子どもだった私には、彼女と私の家族との関係がいつも分かりにくかったのだが、忙しい夏の間、彼女はいつもそこにいた。彼女に会う前、私はあんなにかすれた声を聞いたことがなかった。私は仏壇の前で儀式について学んだことを覚えている。そこは、大きな畳の部屋で、私は子供のころ、テレビゲームをしたり、クリップ式ネクタイをつけて法事に参列したりしたことがある。お香屋の前を歩くたびに、私は祖母との静かな瞬間を思い出す。幼い子供には仏壇にあるろうそくの炎のゆれが、手を振って別れる様子を想像させた。館弥平衛で祖母はゴミの灰から生えてきたように見える竹の子を採る方法を教えてくれ、一緒に料理して食べた。食事の後に、わざと茶碗にご飯を残して、それを池の鯉にやった。それはその頃の私の楽しみの一つだった。

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